瑠維「……すごく哀しいことだな」
「……」
瑠維「哀しい、な……」
その声音に嘘はなかった。
同情でも、哀れみでもない。
あぁ、瑠維を見ていると懐かしい気持ちになるのはどことなく先生に似ているからだ。
優しくて、温かみを感じるその瞳は真っ直ぐ私を見ている。
瑠維「お前は、嫌かもしれないし望んでないかもしれないけど……今からでも、俺はレイと“家族になりたい”」
ーーそんなことを言われるとは思わなかった。
その言葉は、静かに胸の奥へ沈んでいく。
瑠維がどれほど勇気を絞って、迷いながら口にしたのかが伝わる。
そのまっすぐさが痛いほどに。
もし、私が逆の立場だったら。
この手を、迷わずに差し伸べることができただろうか。
逃げずに、向き合うことができただろうか。
「……私は誰かと“名前のある関係”になるつもりはないし、そう生きてきたの」
瑠維「……どうしてだ?」
少しの沈黙。
ブランコの鎖が風で揺れ、金属の音が切なく鳴る。
「……消えるかもしれないから」
私は、私を生きることに意味を感じられない。
どうしようもないくらい時雨のことを好きだと感じても、瑠維に家族になりたいと言われて嬉しく思っても、私には意味のないことだ。
自分の存在が、この世界のどこにも完全には息づかない。
