ANEMONE〜恋に終わりを告げたなら



瑠維「……何か、隠してることがあるんだろうなってのは分かってた」

「……」

沈黙が落ちる。


瑠維「これ、母さんたちの部屋で見つけた」


差し出された一枚の写真。
園の前で6歳くらいの私を抱えている男の人と、母親だという優香里さんが写っていた。


瑠維「親父と母さん……会いに来てたのか?」

「……分からない」


その言葉を吐くのに、思った以上に息が苦しかった。


事実を私は知らない。
私は、何も知らないんだ。自分のことを。


瑠維「……分からないって」

「10歳までの記憶がないの」

瑠維「は?」

「……この写真を見ても何も覚えてない。思い出せない」


この写真に映る私は、笑顔で笑っているけどどこか作り笑いのようで……。


「……だから、“捨てたんじゃない”とか“事情があった”とか、私に言われてもどうしようもないの」


私にレイを施設に入れた理由や、事情を説明されたところで私はレイだけどレイじゃない。


レイが何を思って生きてたのか、この写真に写る両親をどう思っていたのか。
なに一つ知らない。