ANEMONE〜恋に終わりを告げたなら



煩く騒ぐ実乃からの追撃を何とかかわし、校門へ向かう。
遠くからでもわかる。
群がる視線の中心に、瑠維がいた。

壁に寄りかかり、目を閉じ、誰も近寄るなと言わんばかりの空気を纏っている。
その姿は、やけに現実離れして見えた。


「……待たせた?」


小さく声をかけると、閉じていた瑠維のまぶたがゆっくりと持ち上がった。


私と同じ、赤みがかった瞳が、真っ直ぐに私を捉える。


「……いや、今来たとこ」


その何気ない返しに、周囲でヒソヒソと見ていた生徒たちの息が止まったように静まる。


「……校門前なんて目立つ場所、やめればよかった」

瑠維「……だな」


短い言葉を交わし、ふたり並んで歩き出す。


行き着いた場所は、誰もいないあの公園。
数年前まではそれなりにいた人も、住宅街も近くにないこの公園に近寄らなくなった。


ベンチに腰を下ろし、遊具を眺める。
誰にも使われなくなった遊具は年々、撤去されていき残っているのはブランコと滑り台のみ。


ゆくゆくはここも公園じゃなくなる。


「……で、話とは」

瑠維「……お前はいつから知ってた?俺のこと」

「12歳の時……御堂って人から聞いた」

瑠維「会いたいとか、思わなかったのか?」


少し間をおいて、瑠維が隣に座る。
その距離は、肩が触れそうで触れないくらい。

瑠維の声は、何かを壊さないように慎重だった。


「……一度だけ、思ったことはある」


中2の時だった。
水瀬先生が亡くなっていたことを知った日。


先生は私が卒業した後、家の家業を継ぐため教師を辞めた。