翼「悪い、……やめやめ。こんなしんみり空気、俺嫌いだわ〜」
そのまま私の肩を軽く押して、さっさ着替えてこいと更衣室に放り込まれる。
更衣室には誰もいなく私一人だけ。
翼「お〜い。遅ぇぞ」
紙袋の中を眺めること数分。
外から催促の声が聞こえる。
「本当に着なきゃダメ?」
翼「まだ着替えてなかったのか笑。せっかく甘南が買ってくれたんだろ〜」
……そんなこと言われたんじゃ着替えないわけにはいかなくなる。
観念して、着替える。
外に出ると、周辺にいた人たちの視線が突き刺さり騒がしくなる周囲に着替え直そうと再び更衣室のドアを開く。
翼「待て待て待て。似合ってから!」
もっと可愛くしてやると言われ翼が私の髪を結んでいく。器用に編み込んでいく翼に驚く。
「上手だね」
翼「昔よく、夏海にしてやってたからな」
翼と、南浜の保険医であるなっちゃんは幼馴染らしい。
そう、高校に入ってなっちゃんと出会ってから知った。
翼「……ほら、完成」
鏡代わりに差し出されたスマホの画面には、いつもより柔らかい雰囲気の自分が映っていた。
「……変な感じ」
翼「お前、元がすげーいいんだからさ。普段からもうちょいオシャレすればいいのに」
「……やだよ。似合わないし」
翼「似合ってっけどな」
「こんなのは、甘南や結衣みたいな子がするから可愛いんだよ」
私はオシャレにあまり興味がない。
何に興味があって、何が好きとかそう言うのもあまりよくわからない。
