ANEMONE〜恋に終わりを告げたなら



レイside


時雨の元セフレーー。
三咲の軽い口調で放たれたその言葉が、ズシンと胸の奥に沈んで、息を吸うたびに痛みを広げていく。


わかっていた。
そういう経験があるということは。
わかってはいたけど、いざ言葉にされるとこんなにも刺さるんだな笑。


時雨「……レイ」


その声に、いつもの優しさはなかった。
低くて、怒っているみたいで。


「……なんで時雨が怒ってるの」


こっちの方が怒りたい気分だっていうのに。


ただ、私にはそんな資格がない。


時雨「他の男の後ろに隠れてんじゃねぇ」


言うなり、腕を引っ張られた。
そのまま人混みを抜けて、海の脇にある小さな救護所みたいな事務所へ。



時雨「……怪我してる」

「え?……あぁ、真希って人に肩掴まれた時に爪が食い込んでたからか」


傷になっていたのかと、今気づく。
特に痛くもなかったから忘れていた。


時雨「潰せばよかったな」

「“お友達”にそんなこと、可哀想だよ」


棘のある言葉を投げかける私に時雨は何故か嬉しそうで、ご機嫌に手当てをしていく。