ANEMONE〜恋に終わりを告げたなら



「それ、レイちゃんに失礼だろ笑」

三咲「……てか、あいつら遅くね」


そういえば、確かに遅い。
かれこれ30分以上経っているのに戻ってくる気配もない。


遥斗「……行くか」


全員、無言で立ち上がり、店の方へ向かった。


翼「なんか賑わってね〜?」


近づくにつれ、ざわつきが強くなる。
視線の先ーー
床に倒れた男たちと、
その前で女の胸ぐらを掴んでいるレイちゃんが見えた。


一瞬、空気が止まった。


三咲「女に手ェあげる趣味なかったんじゃねーのか」

レイ「クズに手ェ出さないって言った覚えはない」


声が冷たい。
目の奥に、感情がない。


レイちゃんは無表情で怯えている女達を睨んでいる。


遥斗「……何があった?」

甘南「実は……」


甘南の震える声で、ことの経緯を聞いた。
正直、信じがたい話だ。


この場に倒れている男達を、一撃で気絶させたのがレイちゃんだと。


細い腕に細い脚。
喧嘩一つ知らなさそうな、か弱い見た目をした女の子であるレイちゃんが、体格差のある大きな男相手に無事に……というより倒せるほど強いとは誰が思うだろうか。


時雨「……レイ」


時雨がゆっくり近づき、レイちゃんの手首を掴む。
そのまま女から引き離し、自身に引き寄せるように抱え込む。


その姿は、誰にも渡さないと言っているようなもので周りにいた女の悲鳴が強くなる。