ANEMONE〜恋に終わりを告げたなら



甘南「すぐそこに売ってたから行こ」


甘南が私を立ち上がらせ、指差す先には水着やらタオルやら海では必要不可欠なものが並んでいた。
売店というよりは、仮設テントみたいな簡易ショップ。


遥斗「おい、二人だけじゃ危ないだろ」


すぐ立ち上がってついてこようとする時雨と遥斗。


甘南「大丈夫だよ、すぐそこだから。……それに遥くん達がいたんじゃゆっくり選べないでしょ」


いいから待っててと言って甘南が笑うと、遥斗の表情が少しだけ困ったように崩れた。
甘南は私の腕を引っ張り走り出す。


「よかったの?そば離れちゃって」

甘南「だって……私、彼女でもなんでもないから」

チャンスだと言わんばかりに、遥斗たちの周りにまた女の子たちが群がっていく。
人気者は大変だな、と他人事のように思う。
けど、甘南の声はどこか沈んでいた。



「好きだって白状してるようなものだよ、それ笑」

甘南「あっ……い、言わないでね」

「言わないよ笑」

甘南「やっぱ私なんかダメだよね……遥くんの隣は」


しゅんと肩を落とす甘南。
海のざわめきの中、その小さな声はかき消されそうだった。
自信がない子供みたいに見える。


「……お似合いだと思うけど」

甘南「え?ほんと!?」

「うん」

甘南「……なんか、レイちゃんにそう言ってもらえるのが一番嬉しいね笑。レイちゃんと時雨君も、すごくお似合いだよ!」

「、そんなことないよ笑」


だって時雨には、もっとお似合いな女性がいる。
私なんかよりもずっと、あの人の方がお似合いだ。