ANEMONE〜恋に終わりを告げたなら



翼「嫌われてるのに、レイはいつも葵の肩持つな。いつまで憎まれ役を受けるつもりだよ」

「……別に、そんなこと大したことでもない」


あの子をーー葵が大切にしていた“あの子”を助けてあげられなかったのは事実だから。


葵が私を憎むのは当然だ。
何かを言う資格なんて、私にはない。


沈黙を破るように、潮風が砂を巻き上げる。


「……翼でも、余計なこと言うなら容赦しないけど」

飛鳥「……まぁまぁ、二人とも落ち着けよ」

甘南「そ、そうだよ。仲良くしよ、ね?」


二人が慌てて間に割り込んできた。
喧嘩になると思ったのだろう。
だけど、そんなつもりはなかった。
ただーー触れられたくないだけだ。


わかっている。
翼は私のためにそう言ってくれた。
“もう、自分を責めるな”って。
けど、どうしようもない。


言い訳したって、
説明したって、
あの子が帰ってくるわけじゃない。


砂の上に落ちた影が、少しだけ揺れた。


翼「はいはい。俺はそろそろ可愛い子ちゃんでも探しに行くか〜」


わざと軽い声で言いながら、立ち上がって遠巻きにこちらを見ている女たちの方へ向かっていく。


甘南「レイちゃん。まだ帰らないなら、海で遊ばない?」

「それはいいけど、水着とか持って来てないからな」


元々、遊びに来たわけでもないし。
着替えもないから、濡れでもしたら面倒だ。