ANEMONE〜恋に終わりを告げたなら



強引に引っ張ってこられた場所には東海高校の連中と地面には先ほどの男たちの仲間と思わしき連中が倒れていて勝敗はついていた。


遥斗「大丈夫か、甘南」


その中心で、東海高校の頭である東城遥斗が地面に座って手を縛られている女の子の紐を解いていた。

その子が東海高校幹部の一人、松井三咲の妹である松井甘南だということは、昔に月夜から聞いたことがあった。


三咲「お前ら、何でここに……」


可愛い顔をした女顔の男、松井三咲が私たちに気づきその言葉に反応した他の連中の視線もこちらに向き出す。


その中の一人に、“彼”もいて一瞬目が合ったがすぐに逸らしてしまう。


葵「どうだ、クソ女。実の兄貴が居候の女を大切にしている姿は」


私は今、一人暮らしをしている。
高校に入学してから始めた生活だったが、その前はずっと児童養護施設にいた。


家族はいないが、葵の言っていることは一応事実である。


東城遥斗は血の繋がった実の兄。
だけど一度も一緒に暮らしたことはない、ただの血縁者。それだけだ。


東城家は極道の世界でトップに君臨する東城組。遥斗はそこの若頭で組長の息子。


その組長と血は繋がっているけど、会ったこともない娘。それが私だ。


自分の女以外はそばに置かないのが組長の流儀らしく女として産まれた私は生後まもないうちに施設に預けられた・・・ようは捨てられたらしい。


そう、5年くらい前に東城組と名乗る人がご丁寧に伝えにきたことがある。だけどそう言われた時にはすでにどうでもよくなっていた。


そんな話を聞かされても、ずっと親も家族もいないと思って過ごしてきたから。会ったこともない人を家族だと思えるほど、純粋ではなかった。


それに、今さら何かを望む気にもならない。


三咲と甘南は東城組に居候している。つまり、葵は私は女という理由で東城には置いてもらえなかったのに甘南は居候しているーーというのを引き合いに出して私を惨めだと笑いたいだけなんだろう。


しょうもない、嫌がらせだ。