ANEMONE〜恋に終わりを告げたなら



玄関先について、ようやく月夜が足を止めた。
無言だった月夜が、ふいに口を開く。


月夜「……あの中の、金髪の男。お前の兄貴だ」


頭の中で、さっき私を見てすぐに目を逸らした金髪の男の顔が浮かぶ。


確か、遥斗って呼ばれていた……。


月夜「あの男が東城遥斗。その近くにいた男と女は最近、東城家に居候しだしたっていう松井兄妹」


松井……奇妙な縁としかいいようがないな。頭に浮かんだ己の考えに、笑いが出る。


月夜「それとーーお前がさっき話してた男。天道組の跡取りって言われている、天道時雨だ」

「……」


ーー天道時雨。


その名は知っていた。
街で知らないものはいない。
喧嘩が強く、顔立ちが整っていてかっこいいと。


天道組は東城組と肩を並べる組。


だから俺のこと知らないのかと聞いてきたのか……。


時雨は、ここら辺の人でその名を知らない人はいないくらい有名。


神様はいつだって意地が悪い。


私が彼を……時雨を好きになることも、そばにいることも許してはくれないのだ。