ANEMONE〜恋に終わりを告げたなら




彼の前で泣いてしまったあの日から数日。
展望台に行っても、彼の姿はなかった。


泣いたりなんかしたから、面倒くさくなったのかもしれない。


そう思うと胸の奥が少し痛んだ。
私の心は落ち込んでいるのか、悲しんでいるのか、気分が晴れない日々を送っている。


バカみたいだな笑。


朝の薄い光が窓から差し込む。
施設の廊下はまだ少し、冷えていて肌寒い。


志帆「レイ、今日は学校に行くの?」


声をかけてきたのは志帆さんだった。
志帆さんは一番長く勤めている職員さんで、私が赤ん坊の頃からいたという。


つまりーー昔の“レイ”を知る人。


「行かない」

志帆「……そう。帰りはあまり遅くならないようにね」

「はい」


真琴さんも、志帆さんも。私に気を遣っている。
普通、施設の人なら行くように説得したりするものなのにサボっていることに二人は何も言わない。