時雨「俺は・・・お気に入りのやつがここにいるからな笑」
ーーお気に入り。
その軽い調子の返しに、何を答えていいか分からず、思わず黙り込んでしまった。
冗談なのか、本気なのか。
どちらにしても、胸の奥が少しだけざわついた。
「……嫌な目で見られるから、好きじゃない」
時雨が眉をわずかに動かした。
時雨「嫌な目?」
「施設育ちの、親がいない可哀想な子っていう目」
そういう目で見られるのは慣れてはいるけど、だからといって気がいいものではない。
「可哀想なんて……思ってもないくせに」
心配だから、そんなふうに周りは装って接してこようとするけど所詮は他人。
何も思っていない、関心なんてない。それが現実だ。
自分を優しい人間だと、そう思いたいだけの偽善者たち。
時雨「・・辛かったな」
「・・・」
時雨「泣きたいなら、泣けばいい。俺しかいないから」
その言葉は、いつも大丈夫かと上部だけの言葉を並べる連中とは違く感じた。私を案じてくれているように思えて。
涙が、勝手に出てきた。
