心から願っています

ふーん。と言った先輩を見ると、すごくニヤついてた。

先輩を嬉しいと思ってくれてるのかなと思うと、もう心臓が壊れそうなほどにバクバクして嬉しかった。

でも、私の左にいる先輩とは少し間があいている。当たり前かもしれないけど。

「先輩」「じゃあ」

声がかぶった。「じゃあ」といった先輩はさっきの話の続きなのだろうと思い、どうぞと先輩に言う。

「ありがとう。もし、俺が、今、依織の『お願い』聞くって言ったら何て言う?」

「今」か。さっき考えたのは「あの時」。その時にまず「今だったら」と思ったのだ。

私は無意識に左手をグーパーさせる。

「言って良いんですか?」

どうぞ、と言われ、言おうと思ったら、恥ずかしくなる。少し俯きながら、

「手、繋ぎたいです。」

先輩を横目で見てみると、驚いた顔をしていた。私は慌てて、前を向き、

「やっぱいいです。なんでもないです。」

と言ったけど、先輩からの反応がなかった。

不安になって先輩の方を、また横目で見てみると、先輩は顔を背けていた。

やっぱり言わなきゃ良かったかも、と私の中で後悔が生まれる。

「あ、あの。ごめんなさい。」

先輩に聞こえているかどうかわからない声で、言った。

先輩の反応が怖かった。

でも、なぜか怒ってはいないんじゃないか、と勘で思った。

だから、思い切って先輩の顔を覗き込んで見た。

「え?」

先輩の顔は、いや、耳まで赤みがかっていた。照れている、という言葉が私の中に浮かんだ。

「先輩」

私が呼びかけたと同時に、先輩は更に顔を隠そうと、体から背けてきた。