心から願っています

思わず周香の肩に顔を埋める。

「ちゃんと自分で言わなきゃダメだよ」

言いたい、けど、言えない。なんか怖い。恥ずかしい。


多分先輩が来たんだと思う。周香の顔が動いた気配がした。

意味もなく、首を振り続ける。

「依織、言わなきゃ何もわからないでしょ。先輩、困ってるよ」

言わなきゃ。私が話さなきゃいけない。

そう思って周香から離れて、頬の涙の後を拭く。


大丈夫、大丈夫。そう自分に言い聞かせながら、深呼吸をする。

ちゃんと先輩を見て、

「ごめんなさい」

違う、もっと言わなきゃいけないことがたくさんあるのに。

この6文字を言うだけで、精一杯。

「ちょっと違うでしょ! 短すぎ」

案の定、周香に叩かれた。 心のなかで頷く。

「さっきは、急に泣いたり、逃げたり、わけわからないことばかりして、ごめんない」

自分でもわけがわからなかった。こんな事して、先輩に引かれたかもしれない。

いや、そうじゃない。先輩はそんな人じゃない。

決めたことはやり抜く人だし、好きなことはとことん追求する人。

「依織」

「はい!」

先輩が私の名前を呼ぶ。  もう逃げない。