カフェとライター ≪Backstory≫







でも今、戒李の耳は絶対に憂ちゃんの好きな理由を一言一句逃さないように全集中してるはずだ。




もう動画なんて見てねぇよ絶対。




あ、見た。戒李がチラッと振り返り、憂ちゃんを向いたのを合図に、憂ちゃんが折れて話し始める。



「ちょうど、returnを聴いた時なんですけど、私新卒で入った会社に心折れて行けなくなった時で」

憂ちゃんが話し始める、好きになったきっかけ。

そういや

俺らのことは知ろうとしてくれてたけど、

憂ちゃんのことってあまりゆっくり知る時間なかったなーと

思いながら、聞く。


「こんなにストイックに頑張ってる方達に話すのは情けないんですけど、入った会社でうまく働けなくて。どうしていいか分からなくて、



行かなきゃと言うのはわかってるんですけど、家から出れなくなって。行き詰まってて精神的にちょっと落ち込んでた時に、たまたまつけたラジオで流れてたんです」





夜も眠れなくて、このままじゃダメだ、と。誰かの声が少しだけ聴きたくて、たまたまつけたラジオで。誰が歌ってるかもその時は分からなかったらしい。



「曲を聴いて、歌詞が入ってきて、

なんかよく分からないけれど感動してぽろぽろ泣いて。




素敵な曲だなーと思って。曲を聴いた後にLOOPさんの曲だって知りました。


あの時に少し、私を支えてくれた曲です」

なんという…

「すみません、私なんかの重い話…」

話終わった憂ちゃんは、パッと明るく切り替えようと声音を上げるけど。