「まさか濡れて帰るつもりだったわけ?」

そういって1本の傘を私に差し出してきた。

「あ、ありがと」

素直に受け取る。

「じゃ」

そう言って走り出そうとするヤツの腕を今度は私が引っ張った。

「あの、そういえば、これからクラス代表同士、何かと連絡取りたい事とかあると思うから、その携帯のアドレス教えてくれないかな。もし、若槻君が嫌じゃなかったらだけど・・・」

私は自分で自分の大胆な言葉に驚いた。

リクに突き放されて、一人で頑張らなくちゃってさっき思ったからかな。

結構やるじゃん、私ッ!

「お前、意外と積極的だな・・・」

そう言われて思わす顔が赤くなるのを感じる。

「いいから、教えてくれるの、くれないの、どっち?」

私は恥ずかしさで爆発しそうになりながらも、あえてその気持ちをごまかすために、強気な態度でそう言った。

こういうSな男には強気に出ないと、相手のペースに巻き込まれるってのも、リクとの生活で経験済みなんだから。

巻き込まれてたまるものですか!