「しいなちゃんも恋しましょ」

ひなちゃんが明るく言った。

本当は昨日あんな事(リクがすぐチュウしてくること)を相談したから

今日午前中一回も私のクラスにリクが現れない事とか

学食でお互い気がつかないふりをする私達を見て何かあったんじゃないかときっと心では思っているはずなのに、

ひなちゃんは全然そういう事を聞いてこない。

私から自然に話す時まで待ってくれるつもりだと思う。

そういう優しさが
ひなちゃんとこんなに長い間、親友でいられる理由だと思う。

あぁ、ホントにいいこだな。

私にはもったいないや。

「うん、恋しないとね」

私も明るく答えた。

「そういえば、若槻君なんてどうですの?」

「え?隣の席の?」

「えぇ、昨日しいなちゃんが倒れた時、保健室にしいなちゃんをお姫様抱っこして抱えていく姿なんて、とっても格好よかったですわよ。」