「うっわ。最悪」

生徒会の仕事でどの生徒よりも遅くまで残っていた代償。

土砂降りの中、学校のバスには乗れたものの電車が留まってしまった。

仕方ないから、端っこにあるベンチに座ってスマホで情報収集していると

「さん?」

顔を上げると、スーツ姿の

「ーー?え、せんせ」

が目の前に立っていた。

「なんで…」と唖然としたまま問うと、持っていた袋をひょいと掲げて見せた。

「夕飯」

「俺んち駅の近くでさ。いつも買って帰ってんだ」

「あ、そうなんですね」

あ、適当に返事したなって思ったかな。

でも、お腹空きすぎてお腹鳴りそうなの我慢しているからそれどころじゃない…

先生なに買ったんだろ?

袋から飛び出ている緑色の細長いもの……長ネギ?

長ネギって何作るんだろ?

てか、先生料理できるんだ…

逆に出来ないこととか苦手なものってあるんかな?

いきなり「よだれ垂れてる」と先生が口許を指差すから「ーーえっ!?」と慌てて口許を抑えると

「ふっ…あはははは冗談冗談」なんて吹き出された。

先生が笑っているところ初めて見た。

ニコッという完璧な営業スマイルしか見たことがなかったから、見えているものを信じることが出来ない。

綺麗な目尻に出来たシワ。

先生ってこんな顔して笑うんだ。