HRで使う教材を運ぼうとしたとき。

「さん」

「あ、くん。どうしたの?」

学級副委員長のくんが後ろに立っていた。

「なんか疲れているように見えて追いかけてきちゃった。俺が運ぶから先戻って」

委員長の私を仕事面で支えてくれるだけでなく、さりげなく気遣ってくれる。

「でも、…半分こが良い」

瞳に心配そうな色を浮かべていたけれど頷き、私が抱えている教材の半分を取って歩き出す。

「体育でちょっと疲れちゃっただけだから大丈夫。気ぃ遣わせちゃってごめんね」

「さん。俺、“ごめん”じゃなくて“ありがとう”が聞きたい」

「ごめ、っ…あ、ありがと」

「どういたしまして」