Secret mode〜後輩くんの見てはいけないトコロを見てしまいました〜








「私も亜貴くんとしたい」が言えなかったことを、すごく後悔した。
でも、ああ言ってくれてどこかほっとしたのも本当で、素直に言うなら「待つよ」と言った亜貴くんの少し辛そうな複雑な笑顔が嬉しかったのだ。


(……最低)


待たせてることじゃない。
待たせることで愛情を確認して、安心することがだ。
亜貴くんは、私を大切にしてくれている。
それは、たくさんの他のことからだって感じられるのに。 
痛くもないのに、痛いと声を上げてしまうのと同じだ。
私がまだ、靄《もや》から抜け出せていない。
勇気が出せなかったのは、私自身に起因している。


「……よし」


反省したら、やることは決まってた。



・・・



久しぶりに来たショッピングモールは賑わっている。
そろそろ服も新調したいと思いつつ直行したのは、他社のランジェリーショップだ。


(やっぱり、可愛いかったりセクシーだったりするのは、普通のワイヤーありが多いな)


あとはナイトブラが少し、その中間みたいな位置づけのものが少し。
後者はやっぱり、生地が柔らかくて着心地を重視していて、デザイン性は今一つだ。


(うーん……。もっと両立できそうだけどな……。そんなに需要がないのかな)


でも、亜貴くんが言ったみたいに、なかなか人には相談しないことだ。
誰かが「私もそうだよ」って声を上げれば、もっと普通のことにできれば――……。


「何かお探しですか? 」

「えっ。いや……大丈夫です」


質問の答えになっていない。


「試着できますので、遠慮なくお声がけください」


特に気に留めることなく、店員さんはスッと去っていってくれたけど、確かに買い物にしては真剣すぎて怪しかったかも。
視察はこのくらいにして、せっかくだから見て回ろうかな。
着られないにしても、最近は可愛いものを見るだけでも楽しくなってきたことだし。


「……あ……」


あれ、可愛いな。
フリルも多めにあって、色合いや柄も淡くて可愛い。
シンプルなのが嫌いなわけじゃないし、そんな気分な時もあるけど。
こういうのも、また着られるようになったら。


(……って、勝手に誰の顔を……)


いや、そこはもちろん、彼氏である亜貴くん以外にあり得ない。
それはそれとして、今思い浮かべるのはちょっとまずい。
無表情でいられれば問題ないけど、この前の亜貴くんとのやり取りの記憶が強制的にくっついてくる。


『あなたのことが欲しい』

『 “俺としたい” なら、もっと……』


「……っ」


(いい歳して、ランジェリーショップで一人での赤面はやばい人すぎる……! )


出よう。
一刻も早く出ないと、ものすごい不審者になってしまう。


(……あ)


無意識に――いや、空想しながら下着を手に取ってしまっていた。

1分、迷ったかどうか。
私は、それを持って会計を済ませていた。