「涼風季衣、六分の遅刻です」
「はあ、はあ……す、すみません」


次の日の放課後は、祈くんと過ごすことになっていた。
でも、全部の授業が終わったタイミングで、隣のクラスのはずの海音くんと宇宙くんに追いかけられて。
Kis/met入れ~って呪文みたいに走ってくるから、それにひたすら逃げてたら、祈くんとの待ち合わせ時間に遅れてしまった。
ぱたんと、読んでいた本を閉じた祈くん。
どんな本を読んでるのか気になって表紙を見たら六法全書って文字が見えた。
たしか、あれは弁護士になる人とか読むものじゃなかったっけ?
祈くんって頭がいいって聞くし、もしかしたら将来は弁護士になるのかな。


「ボーっとしてないで、そこにある資料をまとめてください」
「え? そこにあるって……」


そこで、部屋の一角にありえないほどのプリントの山が積まれているのが見えた。
な、なにこれ!?


「すでにチェック済みです。本来、部外者が目に触れていいものではありませんが、あなたが特例ということで」
「あ……ええと」
「つまり、手伝わせてあげると言っているんです」


な、なるほど。
一昨日と昨日は、なんだか遊んでばかりだったから、今日も同じ感じかなって思ってたけど。
西條くんの日となると、こういうお仕事がメインになるのか。
それにしても、このプリントを全部チェックしたって、もしかして全部読んだのかな?
いや、そんなわけ……。


「えっ!? 全部に赤字が入ってる!」