ワケあって、男の子のふりをしています!学園最強男子たちの溺愛バトル

開いた口が塞がらないってきっとこういうことだ。
わたしはずっと話に置いてけぼりを食らっている。
なぜか目の前で順番決めが始まり、しかも最初は宇宙くんに決まってしまった。


「よろしくね、季衣ちゃん」と寝ながら握手されたのは初めてだ。
それから次の朝。


「季衣ちゃん、おはよう」


抱き枕とともに、目をこすりながら宇宙くんが迎えに来た。


「あ……おはよう。宇宙くん、早いんだね」


時間は7時30分。寝るのが好きだから、もう少しギリギリになるかなと思ったんだけど。


「車、乗って。とくべつに、季衣ちゃんにはいちばんいいところ譲ってあげる」
「ありが……え?」


なんだかお高そうな車だなあとは思っていた。
執事のような人が扉を開けたら、そこにはなぜかベッドがあった。


「移動中は寝る時間だよ」


そういってハートのクッションを渡される。


「お、おじゃまします……」


おそるおそる入っては、ベッドに座ってみる。


「うわ、すごいフカフカだ」
「よかった、季衣ちゃんに気に入ってもらえて」


うれしそうに微笑む宇宙くんは、ふわあとあくびをする。
出会ってからずっと、宇宙くんは眠たそうだけど、そんなに寝るのが好きなのかな?
でも最初が宇宙くんでよかったかもしれない。
だって、あとの3人だったら大変そう。
それに比べて宇宙くんはほとんど寝てるだろうし、それに付き合ってるだけでいいもんね。


「じゃあ季衣ちゃん、着くまでこれだけ読んで」
「え……新聞?」


しかも大量にある……!


「これを読むの?」
「うん、今日の新聞だから今日読むよ」


そう言って、集中するように読む宇宙くんの目はパッチリしていて眠そうじゃない。
さっきまで「移動中は寝る時間」とか言ってたのに……?
わたし、新聞なんてほとんど読んだことないけど……。
でも今日は宇宙くんと一緒に過ごす日だから、ここは合わせないと。
ええと、……あ、難しい漢字……なんて読むんだろう。


「おわった」