そんな子どもを、自分やもう一人の年近い従兄弟である桃が、庇護してやらなければ。

そんな気持ちになったのは、必然だったのかもしれない。


――それとも。


未来の自分たちが仕えるべく天神に、ただただ血が惹かれていたのだろうか。



「……東京なんか、はよ出たらえぇのに。

楓は、ずっとそこに居るなんて出来ひんのに……」


月姫は、いずれ離れなければならない存在だ。

唯、一時期。天神となるその前に、楓の能力を押し上げるため。そして楓自身の名をあげる為だけに、利用しているだけなのに。


「あほやで、楓」

それでも、桜が東の夜を見詰める眼は柔らか気だった。