「で。その話は本当なのかよ?―――って痛ぇ!氷沙!何すんだよっ」

 事件の被害者に対して、あまりにもずけずけとものを言う双子の弟の頭を氷沙(ひさ)は思いっきりはたいた。

 仮にも被害者の話を聞いているのだから、もう少しデリカシーを持て。

 そんな心情をこめながら、じろっと睨むと弟は肩をすくめてみせた。小うるさいとでも言いたげなその様子に、氷沙はもう一度自分より高い位置にある黒髪を引っ張った。


「痛い、痛いって!氷沙!はげるから!」


「ごめんね。高原くん。うちの弟ってば、全然デリカシーなくて。せっかく相談しにきてくれてるってのに……もう、波樹(なみき)、こら!謝んなさい」