「座ってたほうが楽だから」
「そうですか」
私は再び、課題に取り掛かった。
しばらく黙々とやっていたが、男子生徒の視線に気づいた。
「どうかしましたか?」
「いや、君は、なんでこんなところで勉強してるのかなって思って。この前の定期テスト、休んで受けられなかったとか?」
「私、保健室登校してるんです」
そう答えた途端、男子生徒が気まずそうな表情になった。
「…ごめん」
「え?」
そして私はハッとした。
普通、保健師室とうこうをする生徒は、いじめなどが原因で不登校になってしまい、やっと出て来れるようになった人たちが、利用することが多い。
「えっと、違うんです!私は昔から体が弱くて教室で受けることが難しいので、保健室で勉強してるだけで…」
「あ、そうなんだ」
ほっとした顔になった。
「俺、阿久津理玖。一年君は?」