喜々良(ききら)と健悟(けんご)は幼なじみ。

だけど互いに異性と感じた事はなかった。

事態が急変したのは、喜々良が母親の恋人に襲われた時。

「汚れちゃった⋯。
こんなわたしでも、結婚してくれる人、いるのかな⋯?」

泣きじゃくる喜々良を、健悟は抱きしめ、

「もし、この事が原因で、きーが結婚出来なかったら俺が結婚してやる!
だからもう泣くな⋯」

そう言った。

それは喜々良が健悟を男として意識するには十分な出来事だった。

だけど告白をしなかったばかりに、健悟は高校で彼女を作った。

しかも彼女は、喜々良と顔見知りだった。

もし、あの時、告白をしていたら、キミの隣にいたのはわたしだったかもしれない。

そんな醜い事を考えたりもした。