亞莉栖は情報の売買とか、裏取引のカムフラージュに使われたり、まともに飲んでく客はほとんどいない。たまに秒で裏口から出てく輩も見かける。
でもあたしにとっては第二の哲っちゃん家みたいな場所で。甘えたり、慰められたり、励まされたり、叱られたり。ここが無かったら、ユキちゃんがいなかったら、たぶん違う臼井宮子になってた。
・・・全部わかってるから真は黙って連れてきてくれた。胸につかえてるモノを、あたしが吐き出して楽になれるように。
冷えたグラスビールに、ハムとチーズのホットサンドまで付いてきて、もそもそ食べきってから、お腹が空いてたことにやっと気付く。
「そう言えばお昼からなんにも食べてなかった」
「おかわりあるわよ」
今度は卵入り。おいしい。・・・だったら平気。ほんとに絶望したときは何を食べたって味がしないんだから。食べたいって本能が死ぬんだから。
「・・・あのねユキちゃん」
空のお皿を下げ、ロンググラスのジンフィズを置いてくれたユキちゃんに、真には聞かせられない本音を晒す。
「高津さんてさ、かなりこじらせてる人だけど、やっぱり憎めないんだよねぇ」
「・・・チヨちゃんに借りを返しに来たんですって?」
「あのひとが恩に着ることじゃないのに、千也さんのことすごく大事だったのかな・・・」
「真と宮子お嬢が同じ鏡で見ても、違う晶が映るのは当たり前だからね。そう思う自分の目を信じるのは間違いじゃないんだよ」
男口調で淡く微笑んだユキちゃん。
でもあたしにとっては第二の哲っちゃん家みたいな場所で。甘えたり、慰められたり、励まされたり、叱られたり。ここが無かったら、ユキちゃんがいなかったら、たぶん違う臼井宮子になってた。
・・・全部わかってるから真は黙って連れてきてくれた。胸につかえてるモノを、あたしが吐き出して楽になれるように。
冷えたグラスビールに、ハムとチーズのホットサンドまで付いてきて、もそもそ食べきってから、お腹が空いてたことにやっと気付く。
「そう言えばお昼からなんにも食べてなかった」
「おかわりあるわよ」
今度は卵入り。おいしい。・・・だったら平気。ほんとに絶望したときは何を食べたって味がしないんだから。食べたいって本能が死ぬんだから。
「・・・あのねユキちゃん」
空のお皿を下げ、ロンググラスのジンフィズを置いてくれたユキちゃんに、真には聞かせられない本音を晒す。
「高津さんてさ、かなりこじらせてる人だけど、やっぱり憎めないんだよねぇ」
「・・・チヨちゃんに借りを返しに来たんですって?」
「あのひとが恩に着ることじゃないのに、千也さんのことすごく大事だったのかな・・・」
「真と宮子お嬢が同じ鏡で見ても、違う晶が映るのは当たり前だからね。そう思う自分の目を信じるのは間違いじゃないんだよ」
男口調で淡く微笑んだユキちゃん。



