「宮子お嬢の覚悟が決まったのなら上々だ。・・・榊の迎えは明日よこす、しっかり養生しておけ」
「・・・ありがとうございます」
淡く口角を上げて哲っちゃんが締めくくったのを、上半身を折って一礼した榊。松葉杖に手を伸ばしかけた真をあたしは呼び止めた。
「ちょっと榊に話あるから先行ってて」
「外で待ってる」
金属製の扉が重そうに閉まり二人だけになった。
ベッド脇の空き椅子に座り直して視線を持ち上げる。どんな文句でも吸い込みそうな眼があたしを見てる。無意識におへその辺りがきゅっとして、口を開いた。
「殴ったのはやっぱり謝んないからね?」
「一発じゃ足りねぇくらいだろ・・・」
「紗江だったら連続往復ビンタだよ。絶対あたしより根に持つよ?」
わざと睨めば、バツが悪そうに明後日を向く。
「榊」
「・・・なんだ」
「もう一回言わせてよ。・・・あんたの命、あたしにちょうだい」
頬がちょっとこけて前より尖った顔付きの男が、空を仰いで息を止めたように見えた。
「どこにいてもそばにいなくても、指一本になっても、どんなに面倒臭くたって一生、あんたとあたしは切れないの。榊の泣き言なんて二度と聞かない。これからは榊がしたいことをあたしにするんじゃなくて、あたしがして欲しいことをあんたがするの、あたしの為に死ねないの」
「・・・ありがとうございます」
淡く口角を上げて哲っちゃんが締めくくったのを、上半身を折って一礼した榊。松葉杖に手を伸ばしかけた真をあたしは呼び止めた。
「ちょっと榊に話あるから先行ってて」
「外で待ってる」
金属製の扉が重そうに閉まり二人だけになった。
ベッド脇の空き椅子に座り直して視線を持ち上げる。どんな文句でも吸い込みそうな眼があたしを見てる。無意識におへその辺りがきゅっとして、口を開いた。
「殴ったのはやっぱり謝んないからね?」
「一発じゃ足りねぇくらいだろ・・・」
「紗江だったら連続往復ビンタだよ。絶対あたしより根に持つよ?」
わざと睨めば、バツが悪そうに明後日を向く。
「榊」
「・・・なんだ」
「もう一回言わせてよ。・・・あんたの命、あたしにちょうだい」
頬がちょっとこけて前より尖った顔付きの男が、空を仰いで息を止めたように見えた。
「どこにいてもそばにいなくても、指一本になっても、どんなに面倒臭くたって一生、あんたとあたしは切れないの。榊の泣き言なんて二度と聞かない。これからは榊がしたいことをあたしにするんじゃなくて、あたしがして欲しいことをあんたがするの、あたしの為に死ねないの」



