乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~

ユキちゃんの情報網でルナティックの場所はすぐ割れた。表向きはショットバーで、多国籍な飲食店が寄せ集まった界隈にあるらしい。

高津さんがどう手を貸してくれる気なのか、手放しで信用はできない。でも。女を裏切る男を心底憎んでるあのひとが、悪意であたしをどうにかするとも思えない。好意とも違う気がするけど、真は思い込んでるかな。

相澤さんへの因縁を断ち切ってさえくれたら。宿敵みたいな友人、・・・くらいにはなった。きっと。

「いちいち水に流せねぇなら、ルナティックには俺と榊と宮子で行く。余計な手間を増やされても面倒だ」

高津さんにケンカ買わせたいだけなら行くなって、仁兄から特大の釘を刺された真は一瞬、返事を詰まらせた。

「・・・そこまでバカじゃねーって」

「分かってるじゃねぇか。宮子をがっかりさせるなよ?」

見えない飴玉を弟の口に放り込んで、ミニサイズの釘をもう一本。

溜息を逃しながら真があたしの頭をぽんぽんする。

「俊哉が助かるなら、頭下げる相手が高津だろーとさ。二度もオレの女に手出してくれた分、礼もたっぷり返してやるよ」

「高津さんがほんとのクズだったら、あたしが引導渡すから」

・・・そしたらあのひとは喜んで殺される。掠めた思いが吹き抜けてった。