「シンガポールなら志信兄貴のコネがある。アテにさせてもらう」
「・・・行けば治る、んだよね・・・?」
「駄目なら次を探すだけだろうが」
あっさり言い切られて、ああそっかぁ、って。体から力が抜けた。
折れそうになってんのは、あたしだけだ。みんな耐えて背筋張ってる。
「他にねーのは分かるんだよ。けど、時間がかかりすぎんじゃね?」
溜息に隠した真の焦りとイラ立ちが手に取るよう。すぐにでも助けたい気持ちは一緒だよ。今度はあたしから手を握り返す。
「ブローカー抜きで下手に動けば、カモにされて終わりだ」
「通訳なんかアプリにやらせりゃ十分だろ。やっぱオレが現地に飛んだほうが早い」
「お前が宮子をひとりにして意味があるのか言え」
低く凄んだ仁兄に言葉を詰まらせた真。アイドル顔が苦そうに歪んだ。
会話の流れで想像した。信用できるブローカーを探せないと確実に成功しない、そういうこと。きっと承知してても、真は言わずにいられなかったんだろう。
右も左もどころか、会話も通じない国に大事な“家族”を送り出すんだから、仁兄が慎重なのは当然だ。もどかしい。由里子さんみたいに世界中を飛び回ってたら、あたしだってなんか役に立っ。
次の瞬間。頭の中の導火線に火花が走った。
「・・・高津さん」
「・・・行けば治る、んだよね・・・?」
「駄目なら次を探すだけだろうが」
あっさり言い切られて、ああそっかぁ、って。体から力が抜けた。
折れそうになってんのは、あたしだけだ。みんな耐えて背筋張ってる。
「他にねーのは分かるんだよ。けど、時間がかかりすぎんじゃね?」
溜息に隠した真の焦りとイラ立ちが手に取るよう。すぐにでも助けたい気持ちは一緒だよ。今度はあたしから手を握り返す。
「ブローカー抜きで下手に動けば、カモにされて終わりだ」
「通訳なんかアプリにやらせりゃ十分だろ。やっぱオレが現地に飛んだほうが早い」
「お前が宮子をひとりにして意味があるのか言え」
低く凄んだ仁兄に言葉を詰まらせた真。アイドル顔が苦そうに歪んだ。
会話の流れで想像した。信用できるブローカーを探せないと確実に成功しない、そういうこと。きっと承知してても、真は言わずにいられなかったんだろう。
右も左もどころか、会話も通じない国に大事な“家族”を送り出すんだから、仁兄が慎重なのは当然だ。もどかしい。由里子さんみたいに世界中を飛び回ってたら、あたしだってなんか役に立っ。
次の瞬間。頭の中の導火線に火花が走った。
「・・・高津さん」



