乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~

ぜんぶ腑に落ちた。

『俺はもうお前に心配される価値もねぇよ』
『穴がふさがっても元の体には戻らねぇらしいからな、心配するだけ無駄だろが』
『・・・このさき真の足の代わりもできねぇなら、俺はもうお前らと』

大きい病院にかかれば治せても、警察に通報されたら組が終わる。身内を売ってでも自分は助かりたいなんて、榊は死んでも言わない。言わない親友を真はどんな気持ちで・・・!!

「・・・も・・・、やだぁ・・・」

俯いて必死に堪える。一番泣きたいのはあたしじゃない。膝の上で力いっぱい握りしめた拳を真の指が包んだ瞬間、結び目が切れたみたいに涙がしたたり落ちた。

あたしのせい、あたしが撃たれればよかった、そしたら榊は・・・ッッ。自分に向けて見えない刃を振り下ろす。だったら、あたしもあんたと一緒に逝く。本気で思った。

「死なせねーよ」

じんと伝わってくる掌の熱さ、魂ごと引き摺り出したような響きの重みに、振り下ろした切っ先が紙一重で頬を掠めた。

「オレがこの賭けに勝たねーでどうすんの」

「宮子お嬢が泣くのはまだ先でしょう」

叱られた。哲っちゃんの深い声に。

「お嬢の特別(もの)は俺の特別(もの)でね。・・・簡単に手離せやしませんよ」

「日本じゃロクに治療もできねぇからな、榊は海外で養生させるぞ」

海外・・・?鼻をすすりながら、のろのろ顔を上げたあたしに仁兄が目を細める。