「・・・たまには素直に騙されてろ。あとでお前に恨まれるくらい、俺はどうってこともない」
縁なし眼鏡のブリッジを押し上げ、あたしを一瞥した仁兄。瞬間、目の奥が苦そうに揺れた気がした。
「宮子お嬢に嘘はこれきりです。二度はないから赦せ」
「哲っちゃんまでやめてよっ」
一ツ橋を束ねる若頭が両膝に手を置き、頭を垂れたのを泣きそうになった。200%愛情に決まってるから余計に切なかった。
「あたしはただ・・・!」
「頼んだのは俺だ、相手を間違えるんじゃねぇよ。・・・いいから好きに殴れ」
はじめて届いた低い声に向かって、ようやく視線を縫い止めたあたし。
患者衣姿で上半身を起こしてる榊は、硬そうなベッドの上で顔色が冴えなかった。でも手加減しようとは思わなかった。
「聞きたいのはザンゲじゃなくて理由なんだからね。なんであんなこと言ったのか、極道なら筋通してみせなさいよ」
親友なら。とは言わない。弱ってない眼力はあたしが信じてる男のだった。真っ直ぐ見据えた。
十秒、数十秒、微動だにしなかった底無しの眸が何かを断ち切るように、ついと逸れた。
「・・・そうだな」
「宮子」
口を開こうとした刹那、やんわり真が被せる。
「オマエに話してないことがあってさ」
縁なし眼鏡のブリッジを押し上げ、あたしを一瞥した仁兄。瞬間、目の奥が苦そうに揺れた気がした。
「宮子お嬢に嘘はこれきりです。二度はないから赦せ」
「哲っちゃんまでやめてよっ」
一ツ橋を束ねる若頭が両膝に手を置き、頭を垂れたのを泣きそうになった。200%愛情に決まってるから余計に切なかった。
「あたしはただ・・・!」
「頼んだのは俺だ、相手を間違えるんじゃねぇよ。・・・いいから好きに殴れ」
はじめて届いた低い声に向かって、ようやく視線を縫い止めたあたし。
患者衣姿で上半身を起こしてる榊は、硬そうなベッドの上で顔色が冴えなかった。でも手加減しようとは思わなかった。
「聞きたいのはザンゲじゃなくて理由なんだからね。なんであんなこと言ったのか、極道なら筋通してみせなさいよ」
親友なら。とは言わない。弱ってない眼力はあたしが信じてる男のだった。真っ直ぐ見据えた。
十秒、数十秒、微動だにしなかった底無しの眸が何かを断ち切るように、ついと逸れた。
「・・・そうだな」
「宮子」
口を開こうとした刹那、やんわり真が被せる。
「オマエに話してないことがあってさ」



