さっきだって若い子が『すげー怖い』って。自分には普段どおりに映った。気付かなかった。ご飯をちゃんと食べてるか、寝不足で辛そうじゃないか、心配はそっちに向いてた。
「あたしの目、節穴すぎ」
漏れた溜息。
一から百まで解りあえて当たり前だなんて思ってない。子供のころから兄妹みたいに育っても、唯一無二の存在でも、別別の人間だ。
大人になればなるほどカンタンだったものが複雑になったり、一緒に歩いててもいつの間にか歩幅が違ってたり。
それがどうってことない時もあれば、今は見過ごしたらどんどん帳尻が合わなくなってくと思う。だから手遅れになる前に、真とも榊ともとことん膝を突き合わせよう。お腹の底に力を込めた。
「・・・よし!」
ついでに軽く掃除機がけでもして帰ろうと、勢いつけてソファから起き上がった矢先、外から玄関ドアのロックが解除されたのが聞こえた。
松葉杖で床を突く音が近付くのを静かに待つあたし。リビングに現れた真はゆっくり傍まで来て、隣りに腰を落とす。
「家出はおしまい。迎えに来た」
体を引き寄せられ、そのまま髪に埋まる吐息。
「・・・宮子は悪くないよ」
先回りされた。
「ウソつきの悪い男はオレと俊哉だから、オマエは怒りな。殴りたかったら殴っていーんだよ」
「あたしの目、節穴すぎ」
漏れた溜息。
一から百まで解りあえて当たり前だなんて思ってない。子供のころから兄妹みたいに育っても、唯一無二の存在でも、別別の人間だ。
大人になればなるほどカンタンだったものが複雑になったり、一緒に歩いててもいつの間にか歩幅が違ってたり。
それがどうってことない時もあれば、今は見過ごしたらどんどん帳尻が合わなくなってくと思う。だから手遅れになる前に、真とも榊ともとことん膝を突き合わせよう。お腹の底に力を込めた。
「・・・よし!」
ついでに軽く掃除機がけでもして帰ろうと、勢いつけてソファから起き上がった矢先、外から玄関ドアのロックが解除されたのが聞こえた。
松葉杖で床を突く音が近付くのを静かに待つあたし。リビングに現れた真はゆっくり傍まで来て、隣りに腰を落とす。
「家出はおしまい。迎えに来た」
体を引き寄せられ、そのまま髪に埋まる吐息。
「・・・宮子は悪くないよ」
先回りされた。
「ウソつきの悪い男はオレと俊哉だから、オマエは怒りな。殴りたかったら殴っていーんだよ」



