ソファベッドもテレビもそのまま、日用品を片付けちゃったから味気もなにもないけど。榊を引き留めてよく一緒に夜ご飯を食べた、とか・・・ずいぶん懐かしい気もする。
蒸して籠った空気を逃そうと、エアコンを動かしながらしばらくあちこちの窓を開け放して。
クローゼット、洗面化粧台、冷蔵庫もみんな空っぽ。思い出の抜け殻が残った感じ。あの襲撃がなかったら、もうちょっとここで新婚生活を満喫してたはずだったのにね。
「・・・後ろ向いたってしょうがないもん」
ソファベッドに仰向けに寝転がり、天井相手の独り言。
真も榊も仁兄もみんな前だけ向いて、あたしを必死に守ろうとしてくれて、気持ちを無駄にするつもりはこれっぽちもない。ないよ。けど。・・・そこで行き止まりになって立ち往生してる自分がいる。
目を瞑って深く息を吸う。なんでだろう。真の声がすぐそばで聞こえてるのに、独りで道に迷ってるよな。歯車は噛み合ってるのに軸が軋んでるよな。
心の奥で頼りなくゆれてる一本の糸を捕まえ、そっとたぐり寄せてみる。絡んでるとこはないか探してみる。不満なんて欠片もない、こんなにもあたしを愛して、あたしが愛せる男は真だけ。
ただ色々あって二人でいる時間も減って、相手を大事に気遣うあまり、お互いの顔がしっかり見えてないのかもしれない。無意識に。
「・・・寝顔と笑ってる顔」
ほかは思い出せない。真はずっと笑ってる。気がする。
蒸して籠った空気を逃そうと、エアコンを動かしながらしばらくあちこちの窓を開け放して。
クローゼット、洗面化粧台、冷蔵庫もみんな空っぽ。思い出の抜け殻が残った感じ。あの襲撃がなかったら、もうちょっとここで新婚生活を満喫してたはずだったのにね。
「・・・後ろ向いたってしょうがないもん」
ソファベッドに仰向けに寝転がり、天井相手の独り言。
真も榊も仁兄もみんな前だけ向いて、あたしを必死に守ろうとしてくれて、気持ちを無駄にするつもりはこれっぽちもない。ないよ。けど。・・・そこで行き止まりになって立ち往生してる自分がいる。
目を瞑って深く息を吸う。なんでだろう。真の声がすぐそばで聞こえてるのに、独りで道に迷ってるよな。歯車は噛み合ってるのに軸が軋んでるよな。
心の奥で頼りなくゆれてる一本の糸を捕まえ、そっとたぐり寄せてみる。絡んでるとこはないか探してみる。不満なんて欠片もない、こんなにもあたしを愛して、あたしが愛せる男は真だけ。
ただ色々あって二人でいる時間も減って、相手を大事に気遣うあまり、お互いの顔がしっかり見えてないのかもしれない。無意識に。
「・・・寝顔と笑ってる顔」
ほかは思い出せない。真はずっと笑ってる。気がする。



