乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~

残りの人生あたしが全部もらうあの約束は、鎖で繋いでなにも赦さないって意味じゃないよ。

「この色、織江さんに似合いそう!」

「そう言えば昔ね、藤君が選んでくれたんだけど」

湧きあがった感傷をポケットにねじ込んで、試着や衝動買いを楽しみ。両手いっぱいのお土産を三列シートの車に積み終えた織江さんと、地下駐車場でデートを締めくくった。

「こんなに楽しかったお買い物は初めて。宮子さんのおかげだわ、ありがとう・・・!」

「あたしこそ!姉妹で買い物するのってこういう感じなんだと思って、ひとりでニヤけてましたもん」

向かい合って笑み崩す。

「宮子さん」

ふいだった。香水より柔らかいフローラルな香りと温もりに、優しく閉じ込められた。

「こうして宮子さんにも榊さんにも会えて本当によかった。・・・わたしが言えることじゃないって分かってるんだけどごめんなさい、でも」

詰まらせながら震えた声。

「もし宮子さんがいなくなってたらわたしは、どうして守ってくれなかったのって・・・真さんや榊さんを憎んでしまったかもしれない。もし・・・宮子さんを守ってその人が命を落としてしまったらそれでも、助けてくれてありがとうって・・・きっと感謝しか残らないの。紗江さんも同じだと思うの」

なぞるように言葉をひとつひとつ重ね、あたしの背中に回った腕にきゅっと力がこもる。

「生きててくれてありがとう宮子さん。・・・大事な大事な友達を守ってくれてありがとう榊さん」