別の商品に目移りした素振りで歩き出しながら、時間差でカオスの大波が押し寄せてくる。
あんなの、真や相澤さんへのただのパフォーマンスかもしれないし、あたしを脅かして悪そうにほくそ笑んでるかもしれない。外見だけじゃなくて中身まで変わったかもしれないじゃない・・・!
借り。伝言。色んなワードが逆巻いた。自分の中の嵐に袋を被せ、無理やり口を縛った。
何より織江さんの笑顔を曇らせたくない。今日は。今日だけでも。小さく暴れてる葛藤を隅に放った。
「動物の箸と箸置きが可愛くてどれにするか迷っちゃって」
市松模様のショップの手提げを片手に嬉しそうな彼女。
「見てると結局、自分のものじゃなくて家族のものを探しちゃうの」
「分かります、買って帰って、喜んでくれる顔が見たいんですよねぇやっぱり」
「毎日じゃなくてもほんの少しでも、そう思えるときがあるから幸せなのね」
優しく微笑み返された。
・・・そうですよね。一生懸命がんばって探さなくても、真と榊が空気みたいに隣りにいてくれる当たり前も、仁兄や哲っちゃんが寄り添ってくれる当たり前も、もうとっくにあたしのシアワセなんですよね。
集中した気配で先頭を歩く黒い背中を見つめた。
ねぇ榊。
あんたが願ってる幸せはどこにあるの?
あんなの、真や相澤さんへのただのパフォーマンスかもしれないし、あたしを脅かして悪そうにほくそ笑んでるかもしれない。外見だけじゃなくて中身まで変わったかもしれないじゃない・・・!
借り。伝言。色んなワードが逆巻いた。自分の中の嵐に袋を被せ、無理やり口を縛った。
何より織江さんの笑顔を曇らせたくない。今日は。今日だけでも。小さく暴れてる葛藤を隅に放った。
「動物の箸と箸置きが可愛くてどれにするか迷っちゃって」
市松模様のショップの手提げを片手に嬉しそうな彼女。
「見てると結局、自分のものじゃなくて家族のものを探しちゃうの」
「分かります、買って帰って、喜んでくれる顔が見たいんですよねぇやっぱり」
「毎日じゃなくてもほんの少しでも、そう思えるときがあるから幸せなのね」
優しく微笑み返された。
・・・そうですよね。一生懸命がんばって探さなくても、真と榊が空気みたいに隣りにいてくれる当たり前も、仁兄や哲っちゃんが寄り添ってくれる当たり前も、もうとっくにあたしのシアワセなんですよね。
集中した気配で先頭を歩く黒い背中を見つめた。
ねぇ榊。
あんたが願ってる幸せはどこにあるの?



