乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~

曇りひとつない感謝と愛しみにあふれてる彼女の最愛の夫は、『一ツ橋の虎徹』の二つ名を持ってる。極道とは無縁の妻と娘を巻き込まないために、相澤さんは家に帰るのが月に半分ほど。そのあいだの留守と全権を預かってるのが藤さん。

寂しさも心細さもあるはずだけど、それさえ綺麗に畳んで織江さんは一途に相澤さんの傍らに寄り添ってる。藤さんをゆるぎなく信頼してる。

純粋に憧れて尊敬してる。もちろんあたしはあたし。でも地獄行きの男と道連れになる(おんな)として、こんなに美しい生き方をつらぬけるのはきっと、織江さん以外いない。

「今日は宮子さんとのデートを思いきり楽しもうと思うの。誘ってくれてありがとう」

ボディガード付きでなんて申し訳なくて、お礼を言わなくちゃいけないのはこっちだったのに。満面の笑顔に掬われる。

「有名スイーツ店が入ってるから全部買ってこいって、藤君にも頼まれてて」

えーっと。相変わらず相澤家の力関係は不思議だけど、織江さんが嬉しそうだからそーいうことにします藤さん。

「じゃあ食べたら上から順に見て回って、最後に付き合いますね。荷物持ちならいっぱいいるから、まかせてくださいっ」

わざと冗談めかしたら。聞こえてるはずないのに、視界に写りこんでる黒スーツが横目でこっちを睨んだよーな。・・・気のせい??