乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~

「ひとつ言おうか」

ふっと空を仰いだ横顔。

「もしもいつか、お前達が相澤や志信に見限られたその時は、俺が引導を渡す」

戻った、抜身みたいな眼差しに心臓の真横を刺し貫かれたような。

「そんな無様は赦さないよ」

ユキちゃんが『俺』って呼び方したのを初めて聴いた。

裏切ったら、次こそ心臓の真ん中をつらぬかれる。

もしか極道(みち)を外れても、哲っちゃんも仁兄もあたしを断罪できない。きっと出来ない。誰もできない業を背負ってユキちゃんは心中してくれるんだ、あたしと。

「うん。・・・約束する、くれた命に見合う女になるって」

真っ直ぐ応える。挑む。紗江に気付かされた、たった一つの武器を握りしめ。

「あたしは体も張れないし、力じゃ戦えないけど、決めたことは絶対あきらめないから・・・!」

「宮子は強いよ?敵わねぇくらい」

横に立った真の掌が頭の上に乗っかる。不敵に口角を上げて、ユキちゃんを見据えてる。

「オレからも言っとく。相手がユキ姉だろうがそん時は、宮子とリンには指一本触れさせねぇから覚悟して」

「すっかり生意気だ」

「死ぬ気で組は潰さねぇよ、見くびってんの?」

細めた目の奥でユキちゃんは笑った。

「トシヤも同じ生意気を、言ったよ」




思い出したのはやっぱり、百年に一度の笑い顔でも一途なガンコ顔でもなくて。

見飽きたうんざり顔。・・・だったんだからね?