乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~

散歩には上々の春日和だった。そんな大層な庭でもないけど大層に見える。傍らの別次元級な存在感に。

「ユキちゃん」

「なんでも聞くよ」

日傘をあたしに差しかけて、ニッコリ先回り。なんでもって言われた途端、逆に頭が冷えた。

たとえ哲っちゃんに頼まれたって、情にほだされて引き受けるユキちゃんじゃない。ここにいるのが納得づくの答えなら、理由すらいらない。

「こんな重大発表を黙ってて、今日にかぶせてくるとか、みんなあたしを甘やかしすぎ」

ゆっくり歩幅を気遣ってくれる清涼系推しメンに、小っちゃく頬を膨らませる。

「猫にマタタビぐらい、ユキちゃんは“反則”だからねっ」

「誉め言葉かな、ありがとう」

クスクスと返った横顔に訊ねた。

「・・・これからは藤代雪緒として表舞台に立つってことなの?」

「表舞台の袖でジンとマコトを見届けるよ、オブザーバーとして」

あくまで“影“として。それがユキちゃんの貫きたい信念なのかもしれない。

「亞莉栖は?」

「そろそろ潮時だと思ったからね、畳むつもりだった」

つい足が止まったあたしに、半身傾けて淡く笑み崩したユキちゃん。

「マコトちゃんに猛反対されたのよ」

「隠居なんて、まださせねーよ?ユキ姉」