乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~

「ユキちゃんのおかげですっごく元気出た!」

別れ際、ひっそりとした贔屓客専用の駐車場でユキちゃんをハグする。

お兄さんだけどお姉さん。ユキちゃんは別格。哲っちゃんと同じくらい特別。

「マコトちゃんもチヨちゃんも忘れちゃダメよ。トシヤ君のことは、アタシ達みんなで背負ってるの」

「・・・そだね」

少し伸ばしたマッシュボブの髪をやんわり撫でた指。

「次は貸し切りでトシヤ君の快気祝いね。高雄(たかお)やみんなを呼んで、にぎやかにしましょ?」

「うん。絶対!」

「楽しみが増えてうれしいわ」

哲っちゃんに静かに目礼したユキちゃんに見送られ、花爛を後にした。

震動をほとんど感じないセダンの後部シートで哲っちゃんに寄りかかり、小さく息を吐く。

「・・・ありがと哲っちゃん、ユキちゃんに会わせてくれて。あたしがへこんでる場合じゃないよねぇ」

「ここが正念場でしょう」

芯の通った深い声。

「お嬢のあきらめの悪さは、榊も身に染みてるはずですがね」

そうだよ。仁兄との結婚式で真にプロポーズした女なんだからあたしは。

あたしにしか使えないたったひとつの武器は『あきらめないこと』。紗江が教えてくれたんだよ。