『逃げていい』なんて、仁兄と哲っちゃんなら口が裂けても言わない。
人の道を外れる代償に命を張るのが、極道の生き様、覚悟。『男を上げて帰ってこい』って、甲斐さんもシノブさんも不敵に笑ったに決まってる。
真だってわかってる。それでも。純粋に、親友として間違ってないことを、あんたに言い忘れたくなかったんだよ。
黒スーツの男は、黙って真となにかを交わしてた。眼差しで、静かに。
それが約束だったのか、貫きたい意地だったのか、あたしには。
「オレらも行こっか」
真の掌がやんわり、区切りを付けるように頭の上に乗っかった。
餞は渡した。あとは『いってらっしゃい』で送り出すだけ。
手が届かなくなるだけ。あとは全部つながってる、ココロもキズナも、時間も空も…!
不意に目が合った榊へわざと素っ気なく。
「紗江には素直じゃない?」
「ほっとけ」
「なんか妬ける」
「・・・るせぇよ」
ついと逸らした瞬間。髪を刈り上げて覗いてる耳たぶが、夕焼けの橙より赤らんでたのが愛しかった。
照れたのを、精いっぱい隠した背中が愛しかった。
“寂しい”より“愛しい”を残して、榊は発った。
『じゃあな』って、相変わらずのぶっきら棒が、あたしにだけ笑った。
人の道を外れる代償に命を張るのが、極道の生き様、覚悟。『男を上げて帰ってこい』って、甲斐さんもシノブさんも不敵に笑ったに決まってる。
真だってわかってる。それでも。純粋に、親友として間違ってないことを、あんたに言い忘れたくなかったんだよ。
黒スーツの男は、黙って真となにかを交わしてた。眼差しで、静かに。
それが約束だったのか、貫きたい意地だったのか、あたしには。
「オレらも行こっか」
真の掌がやんわり、区切りを付けるように頭の上に乗っかった。
餞は渡した。あとは『いってらっしゃい』で送り出すだけ。
手が届かなくなるだけ。あとは全部つながってる、ココロもキズナも、時間も空も…!
不意に目が合った榊へわざと素っ気なく。
「紗江には素直じゃない?」
「ほっとけ」
「なんか妬ける」
「・・・るせぇよ」
ついと逸らした瞬間。髪を刈り上げて覗いてる耳たぶが、夕焼けの橙より赤らんでたのが愛しかった。
照れたのを、精いっぱい隠した背中が愛しかった。
“寂しい”より“愛しい”を残して、榊は発った。
『じゃあな』って、相変わらずのぶっきら棒が、あたしにだけ笑った。



