乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~

「やっぱ男前だな」

いつもだったらわざと茶化しそうな真が、ふっと口角を上げる。

「紗江に顔向けできない極道(クズ)にだけは、死んでもならねーよ」

「今の言葉、録音するからもう一回言って」

もちろん紗江は大真面目。

「青木」

榊が口を開いた。そう言えばあんたは、真以外の同級生をみんな苗字呼びだった。

「俺のことはいい、テメェが勝手にしてきただけだ。この先も変わらねぇよ」

『心配させて悪かった』が遠回しな不器用男。

「榊クンはね、自分が思ってるより頑張りすぎてるから。アクセル踏みっぱなしじゃ、いざって時にブレーキ壊れて止まれないわよ?」

「・・・おう」

バツが悪そうに目を泳がせたのを、紗江が右手を差し出す。

「誰のためでも死んだりしたら、遺されるあたし達は一生不幸だってことだけ忘れないでね」

「・・・・・・青木には敵わねぇな」

握り交わした二人に、あたしは目を細めた。さっぱりしてるけど温もりがあって、深いとこでちゃんと繋がってる絆が、切なく染みて。

朗らかな笑顔で振り返り、空いてる手を大きく振った彼女が横断歩道を渡るまで見送った。

足し算も引き算もない真っ直ぐな紗江の思いは、三人の胸の真ん中に届いてる。

「死ぬなよ俊哉」

真が小さく溢した。

「死にたくねぇなら逃げりゃいーんだよ。『上出来だ』って堂々とホメてやるよ、オレも宮子も」