乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~

言葉になんない思いが脈打って伝わってくる。あたしもぎゅっと力を込めた。

立ち止まって淡い青色の空を仰ぐ。吹っ切るように深呼吸する。

「高津さんに伝言、頼んでいい?」

わざと素っ気なく、きっぱりと。

「一緒に死ねるくらい大事なあたしの男になんかあったら、この世の終わりまで追いかけて逃がさないから、って」

“君に殺されるのは悪くないね”

面白そうに横目を流すインテリ顔が、瞼の裏をかすめる。返事しない隣りを見上げれば、闇色の眼差しが真っ直ぐあたしを貫いてた。

ずっとこの眼を信じてきた。裏切らない、嘘つかない、揺るがないでそう、誓い続けてくれる榊の心を。

あんたを信じるのはね、息をするのと同じなの。当たり前で、理由を探す必要だってないの。

「明後日、見送りは行かないから」

「お前は自分の体だけ心配してろ」

「ん。しっかり、元気なリンを産むから、楽しみにしててよ」

「・・・おう」

そろそろ戻ろうかと小さく踵を返しかけ。

「臼井」

重なったままの掌が熱い。

「お前が死んだら俺はすぐ追う。・・・地獄の底だろうが付いてく女を、離すかよ」

涯てまで。
果てても。
あたしと。