乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~

リビングテーブルをはさんだ向かい側から、ネクタイの首許を緩めた仁兄がこっちになんか言いたげな横目を流す。

あたしに黙って、・・・ってちょっとは顔に出てたかもしれないけど。こじらせるつもりは無かった。

「見合いじゃない。先週、献金がらみの懇親会で紹介されただけだからな」

「その(ひと)と政略結婚するの?」

ストレートに訊いた。

「気に喰わないか」

ストレートに返ってきた。

「・・・仁兄が決めたんだったら、仁兄の好きにしていいよ。でもオメデトウは言いたくない。良かったって思ってないもん」

「別にそれでいい。俺も宮子に喜ばれるよりはマシだ」

口を小っちゃく尖らせ、わざと拗ねたフリで本心をぶつけたあたしに、仁兄はどことなく不敵に目を細めた。

誕生会の時に覚悟を知っちゃったから。愛のない結婚なんて許せない、って簡単に言えなくなったの。でも願ってる。

仁兄が、一緒に生きるひとと二人でいる意味を見つけられたらいいって。いなくなったら足りない存在になったらいい、って。

どんな形でも仁兄が孤独じゃなかったらいい。・・・それだけだよ。

「言っとくがまだ内々の話だぞ。決まるまで黙ってろ」

「決まったら仁兄が教えてね」

「・・・ああ」