乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~

『俊哉に泣かされたって?』

ビデオ通話越し、真はあたしを慰めるように笑ったあと、溜息混じりに本音を吐いた。

『宮子が許してもオレは許さねーよ。・・・アイツがどんなツラして帰ってきても、ブン殴る』

いくら親友の頼みでも、ひとつ返事で榊の背中を押せない。その気持ちは痛いほど。

シビアな現実を思い知ってる分、あたしの数倍は行かせたくなかったのかもしれない。それでも真は、止めるとは言わなかった。

哲っちゃんと仁兄がシンガポール行きを組公認にしたのは、海外ルートにコネを作りたい思惑もあったんだと思う。幹部や組員を納得させるには、絶対に手ぶらじゃ帰ってこられない。

日本の極道なんか通用しないセカイで、あんたはあんたのまま変わんないでいられる?

あたしの為に死なない約束、守れる?

ねぇ榊。