サイズの合ってた黒スーツが余り気味で、食べる量も減った。お酒の席は運転手に徹して同伴しなくなったし、見かけは平気そうでも、前と同じじゃなくなったのを榊は黙って耐えてる。
思い通りになんない体を引きずって愚痴ひとつこぼさないで、諦めないで自分に出来ること探したいのを止めたら、あたしはクズだ。
だけど、お腹の底で聞き分けのない自分が暴れてる。『どこにも行かないでよ!男のプライドとあたしとどっちが大事なのよ?!』って。
「・・・・・・榊のばか。勝手に行けばいいでしょ・・・っ」
鼻をすすり上げながら、思ってもない悪態つくのが精いっぱい。
「待ちきれなくなったら、こっちから押しかけるからねっ」
脅しにもなんない一撃をどう受け止めたか、武骨な指がらしくもなく、不器用にあたしの涙を拭ってる。
「・・・大した手柄もねぇのに若頭や仁さんが引き立ててくれたおかげで、俺はここにいる。そいつを納得しねぇ奴らもいる。何も言わせねぇだけの極道になって戻る。お前の隣りは誰にも譲れねぇ。・・・俺が死ねねぇ理由はそれだけだ」
鈴の音みたいに心に響く。切なく震わせられる。
「泣かせた分・・・お前の気の済むようにしやがれ」
あんたは殴られたかったのかもしれないけど。ふっくらしてきたお腹の辺りに、坐ったままの榊の頭をやんわり抱き寄せた。
思い通りになんない体を引きずって愚痴ひとつこぼさないで、諦めないで自分に出来ること探したいのを止めたら、あたしはクズだ。
だけど、お腹の底で聞き分けのない自分が暴れてる。『どこにも行かないでよ!男のプライドとあたしとどっちが大事なのよ?!』って。
「・・・・・・榊のばか。勝手に行けばいいでしょ・・・っ」
鼻をすすり上げながら、思ってもない悪態つくのが精いっぱい。
「待ちきれなくなったら、こっちから押しかけるからねっ」
脅しにもなんない一撃をどう受け止めたか、武骨な指がらしくもなく、不器用にあたしの涙を拭ってる。
「・・・大した手柄もねぇのに若頭や仁さんが引き立ててくれたおかげで、俺はここにいる。そいつを納得しねぇ奴らもいる。何も言わせねぇだけの極道になって戻る。お前の隣りは誰にも譲れねぇ。・・・俺が死ねねぇ理由はそれだけだ」
鈴の音みたいに心に響く。切なく震わせられる。
「泣かせた分・・・お前の気の済むようにしやがれ」
あんたは殴られたかったのかもしれないけど。ふっくらしてきたお腹の辺りに、坐ったままの榊の頭をやんわり抱き寄せた。



