「ほら顔を上げてちょうだい。・・・トシヤは必ずもどるよ、そういう男だからね」
ふいに男言葉に変わったユキちゃん。埋めてた顔をゆるゆる上向かせた。
「宮子お嬢の声はちゃんと届いてる。道が暗くて迷ってるのかもしれない、どうする?」
「・・・迎えに行く。引き摺ってでも連れて帰るんだから」
「じゃあ泣いてる場合じゃないわね」
真とも違う甘やかし方でニッコリ笑うと、目尻の涙を指で拭ってくれるユキちゃん。挫けそうになるたび、掬い上げて勇気をくれるユキちゃん。いつもいつも。
「そう、だね。おいしいご飯たべて力つけなきゃ、あのデカい男に負けちゃうよねぇ・・・っ」
鼻をすすってあたしも笑い返す。無理やり作ったのじゃなく、晴れ間が見えた心そのままの笑顔で。
この三人で会食なんて二度はないと思う。ユキちゃんはあくまでBAR『亞莉栖』のママで、情報屋的な裏方さんだもん。本家の敷居をまたぐこともないし、表舞台に出てくることだってない。
秋津組と並んで極道二大勢力って言われる、櫻秀会派の一ツ橋組若頭、遊佐哲司とは、お日さまの下で一緒に歩けない、・・・みたいな。
もしかして見抜かれてたかなぁ・・・。
初夏らしい前菜から始まったお料理をいただきながら、向かいの哲っちゃんをそっと盗み見た。
ふいに男言葉に変わったユキちゃん。埋めてた顔をゆるゆる上向かせた。
「宮子お嬢の声はちゃんと届いてる。道が暗くて迷ってるのかもしれない、どうする?」
「・・・迎えに行く。引き摺ってでも連れて帰るんだから」
「じゃあ泣いてる場合じゃないわね」
真とも違う甘やかし方でニッコリ笑うと、目尻の涙を指で拭ってくれるユキちゃん。挫けそうになるたび、掬い上げて勇気をくれるユキちゃん。いつもいつも。
「そう、だね。おいしいご飯たべて力つけなきゃ、あのデカい男に負けちゃうよねぇ・・・っ」
鼻をすすってあたしも笑い返す。無理やり作ったのじゃなく、晴れ間が見えた心そのままの笑顔で。
この三人で会食なんて二度はないと思う。ユキちゃんはあくまでBAR『亞莉栖』のママで、情報屋的な裏方さんだもん。本家の敷居をまたぐこともないし、表舞台に出てくることだってない。
秋津組と並んで極道二大勢力って言われる、櫻秀会派の一ツ橋組若頭、遊佐哲司とは、お日さまの下で一緒に歩けない、・・・みたいな。
もしかして見抜かれてたかなぁ・・・。
初夏らしい前菜から始まったお料理をいただきながら、向かいの哲っちゃんをそっと盗み見た。



