食欲が戻って食べられるようになってからは、朝ご飯と晩ご飯は哲っちゃんち、お昼をおばあちゃんと、・・・が日課。本家所有の不動産関係をいずれ引き継ぐ勉強会も兼ねて。
『お腹の子と宮子は繋がっていますからね。母らしく、しっかり勉強なさい』
甘やかされ放題な中で、おばあちゃんの愛のムチは緩まない。おかげで襷を締め直せるあたしだった。
「臼井、・・・いるか」
ひと息ついて、実家の自分の部屋で出産情報雑誌をめくってると、扉の向こうから低い声で呼ばれた。
入ってきた黒スーツの榊を、ベッドでクッションを背当てに、ひざ掛けに包まったままの格好で迎える。
「おかえり。真は?どうだった?」
「リハビリ中だったからな、話してねぇよ」
「そっかぁ・・・」
午前中、着替えを届けに病院へ寄ってくれた報告に小さく溜息。
「根詰めて無理してなきゃいいけど」
「壊したら元も子もねぇのは、真が一番よく分かってんじゃねぇのか」
「でも、リンのお父さんは負けず嫌いだからねぇ?」
お腹をやんわりさすりながらつい、弱り笑いが漏れた。
「あたしには本音吐かないだろうし、榊が聞いてやってよ。おねがい」
壁際のソファに腰を下ろした男は一瞬黙った。見やって目が合った。
『おう』って、いつものぶっきらぼうを待った。
『お腹の子と宮子は繋がっていますからね。母らしく、しっかり勉強なさい』
甘やかされ放題な中で、おばあちゃんの愛のムチは緩まない。おかげで襷を締め直せるあたしだった。
「臼井、・・・いるか」
ひと息ついて、実家の自分の部屋で出産情報雑誌をめくってると、扉の向こうから低い声で呼ばれた。
入ってきた黒スーツの榊を、ベッドでクッションを背当てに、ひざ掛けに包まったままの格好で迎える。
「おかえり。真は?どうだった?」
「リハビリ中だったからな、話してねぇよ」
「そっかぁ・・・」
午前中、着替えを届けに病院へ寄ってくれた報告に小さく溜息。
「根詰めて無理してなきゃいいけど」
「壊したら元も子もねぇのは、真が一番よく分かってんじゃねぇのか」
「でも、リンのお父さんは負けず嫌いだからねぇ?」
お腹をやんわりさすりながらつい、弱り笑いが漏れた。
「あたしには本音吐かないだろうし、榊が聞いてやってよ。おねがい」
壁際のソファに腰を下ろした男は一瞬黙った。見やって目が合った。
『おう』って、いつものぶっきらぼうを待った。



