ユキちゃんが自分のことを口にするなんて滅多にない。あたしの顔に出てたのか、長い指で拭き上げたタンブラーを戻しながら、ふっと淡く口許を緩ませた。
「若頭に拾われた恩は、宮子お嬢に返す約束でね。だから感謝は必要ないよ、勝手な償いなんだから」
瞬きを忘れた。哲っちゃんと約束。初めて知った。
「ユキ姉がどう思っててもオレは、助けてもらってる恩しかねーけど」
「・・・お互い勝手でいいじゃねぇか、感謝するのもされるのも」
真と榊に先を越される。
「じゃあ一生、恩返ししてねユキちゃん」
真面目に笑った。
「お母さんになってもおばあちゃんになっても、子供と孫も面倒見てね?」
「宮子お嬢が望むなら」
「山ほど“ありがとう“を言うけど、あたしのはただの“ダイスキ”って意味だから。ユキちゃんへの愛が漏れちゃってるだけだから、気にしないでよ」
「・・・参ったね」
ユキちゃんがどんな負い目を持ってるかは知らない。哲っちゃんも黙ってるなら訊かない。
あたしの答えがユキちゃんの欲しい正解だったか、分かんない。
「ユキちゃんが思ってるよりずうっと、あたしも真も榊もユキちゃんを愛してるからね?」
眼差しを歪めて、堪えるようにユキちゃんは儚く微笑んだ。
「・・・・・・“ありがとう“」
「若頭に拾われた恩は、宮子お嬢に返す約束でね。だから感謝は必要ないよ、勝手な償いなんだから」
瞬きを忘れた。哲っちゃんと約束。初めて知った。
「ユキ姉がどう思っててもオレは、助けてもらってる恩しかねーけど」
「・・・お互い勝手でいいじゃねぇか、感謝するのもされるのも」
真と榊に先を越される。
「じゃあ一生、恩返ししてねユキちゃん」
真面目に笑った。
「お母さんになってもおばあちゃんになっても、子供と孫も面倒見てね?」
「宮子お嬢が望むなら」
「山ほど“ありがとう“を言うけど、あたしのはただの“ダイスキ”って意味だから。ユキちゃんへの愛が漏れちゃってるだけだから、気にしないでよ」
「・・・参ったね」
ユキちゃんがどんな負い目を持ってるかは知らない。哲っちゃんも黙ってるなら訊かない。
あたしの答えがユキちゃんの欲しい正解だったか、分かんない。
「ユキちゃんが思ってるよりずうっと、あたしも真も榊もユキちゃんを愛してるからね?」
眼差しを歪めて、堪えるようにユキちゃんは儚く微笑んだ。
「・・・・・・“ありがとう“」



