乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~

いつ、どう狙われてもおかしくない世界で生きてるかぎり、絶対はないって分かってても。

「大丈夫、まかせて!」

自信たっぷりに笑い返した。

泣き言は言ってらんない。相澤さんやシノブさんに見限られないようあたしが繋いで、二の組三の組となにがあっても割れない一枚岩になって、誰も手出しできない強い一ツ橋組にすればいい。ううん、するから!

「仁兄に哲っちゃんにユキちゃんに、最強の味方もいるんだから安心してよ」

「そうね、宮子のダンナ様がカオだけじゃないのも知ってるしね」

脚を気遣って二列目シートに真を座らせたまま贈った、彼女らしい信頼。

「買い被るわよ?遊佐クン」

「オレを誰だと思ってんの」

不敵に答えた真を鼻で笑ってみせた紗江がもし男だったら、惚れない理由がなかったと思う。

「じゃあまたね。榊クンに、あたしには真似できないから、みんなが出来ることじゃないから尊敬してるって、伝言おねがい」

握られた手にぎゅっと力が籠もり、軽やかに踵を返した親友が角を曲がるまで見送った。

ふいに、困ったように頭を掻いた昨日の葛西さんがよぎった。

『口うるさいヤツじゃないんで、いてもいなくても変わるかって思ってましたよ。・・・下の連中の気が抜けちまって、榊ロスなんだか、まあ自分も似たよーなモンです』